はまれぽ読者のみなさんは、山下公園が昔ナンパスポットだったということをご存じだろうか。
　

女性が乗った車に、男性グループの車が横づけて口説く（フリー画像）
　

いわゆる“カーナンパ”と呼ばれる方法だ。デートや散歩コースとして親しまれる現在の姿からは想像もできず、ガセネタじゃないの？ と思ったそばから編集部の男性社員が「知っていますよ、なつかしい」と答える。
　

本当だったとは・・・（フリー画像）
　　

でも「ナンパって不愉快だよね」と編集部・山岸と意見が一致。山下公園の信じがたい過去を認めたくないのか「実はナンパって迷惑行為なのでは？」とナンパスポット調査のはずが、ナンパ撲滅調査として企画がスタート。どうかお付き合いいただきたい。

まずは法律の専門家に話を伺うべく、みなとみらい線、日本大通り駅から徒歩2分、1969（昭和44）年設立の横浜合同法律事務所へ。
　

横浜合同法律事務所

弁護士の清水俊（しみず・しゅん）先生
　

「ずばり、ナンパは違法行為！　そうですよね？」

「いえ、ナンパ自体は違法ではありません」

なんだ残念。がっくりと肩を落とすと「でもある状況がそろえば違法になる可能性があります」と清水さん。といいますと・・・

・相手の前に立ちふさがり、しつこくつきまとう（軽犯罪法違反、1日～30日未満の実刑または1万円未満の科料に処される場合あり）。
　

そして
　

・相手に触れたり、卑猥な言動をしたりする（神奈川県迷惑行為防止条例、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される場合あり）。

以上の行為は、軽犯罪または迷惑防止条例違反として取り締られるという。

「また、ナンパが成就した後に重大な罪を犯してしまっていると発覚する場合もあります。相手が18歳未満だということを知って交際していた場合です。結婚を前提とした紳士的な付き合いだと判断されなかった場合、神奈川県青少年保護育成条例違反ということで2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます」
　

ナンパ後、その足でホテルへ
　

なんて人もいるかもしれないが実はとても危険な行為。一時の欲望で一生を失う可能性があるということを心に留めておいてほしい。

最後に清水さんは「相手が嫌がっているのに強引に声をかけ続けるなどの行為はやめたほうがいいと思います」とナンパ行為についてコメントをくださった。
　　

元カーナンパの聖地へ

山下公園
　　　

カーナンパ全盛期を経験した年代は、現在40代～50代くらいの男女という推論のもと聞き込み調査を行うことに。しかし、なかなかこの年代の人が捕まらず、知ってはいるけど世代じゃないので実際にナンパをしに行ったことはないと言う人がほとんど。
　

現在はカーナンパの面影はない
　

市役所や資料室に問い合わせてみても、ナンパが行われていたのが夜だったこと、まだデジタルカメラが普及していなかったことから当時の写真は残っておらず、正確な年代も分からないという。
　

横浜マリンタワーからホテルニューグランドの向かいが中心のスポット
　

山下公園一帯がカーナンパスポットで、当時道に設置されていたパーキングメーター付近に停めてナンパを行っていたそうだ。中でも一番アツかったと言われるのが横浜マリンタワーからホテルニューグランド向側まで。しかも山下公園前の道路はすぐに埋まってしまうためか、産業貿易センターの裏手、住居がひしめく場所にまで車がびっしり止まっていたというから、どれほど当時の若者にとってナンパの聖地になっていたかがうかがえる。

聞き込みを続ける中で15人ほどに話を伺うとカーナンパをしたことがある人にようやく出会う。中区のレストランにお勤めの40代男性。

「今から20年ほど前、1995（平成7）年ごろまで山下公園でカーナンパが行われていました。車は品川ナンバーもいましたが、千葉や埼玉ナンバーが多かった印象です。それほどナンパスポットとして有名でした」とのこと。

ちなみにナンパが成功したかどうか伺うと「友達には成功した人もいましたよ」とのこと。